鉛バッテリーの劣化
原因は色々考えられますが、容量違いのバッテリーを3個並列接続したのが一番の原因だと推測しています。 並列接続では容量の大きいバッテリーから他のバッテリーに常に電流が流れてしまうようで、自然放電以上の消耗となったと思われます。
後はソーラ充電のコントローラの繰り返し充電により、充放電サイクルがバッテリーの許容量を超えてしまったと考えられます。 一般的な鉛バッテリーの充放電回数は300回程度のようですので、ディープサイクルバッテリーでも放電量をかなり絞らないと寿命が短くなるようです。
リチウムイオン電池のメリットとデメリット
それに対してリチウムイオン電池は放電能力が高く、充放電回数も500回以上と鉛バッテリーの2倍程度の寿命とされます。 軽量であるためスマホのバッテリーにも使用されているのでその性能は想像しやすいです。
デメリットとしては充放電制御を行わないと過熱し最悪爆発する危険があることです。 また、充放電回数2000回以上のリン酸鉄リチウムイオン電池は結晶構造が安定していて熱暴走による発熱・発火のリスクも少ないという優れ物ですが非常に高価です。
鉛電池に比べて同容量のリン酸鉄リチウムイオン電池は10倍程度で、100Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池は電気用品安全法のPSE認証取得のものでは10万円以上もします。
リチウムイオン電池の発熱・発火対策
BMS(Battery Management System)とは主に充放電間に各電池セルに流れる電流を調節し、各セルの電圧を一定に保つバランス機能があります。 また、充放電間にあらかじめ設定した電圧、電流、温度等の上限値・下限値を超えた場合充放電を停止する機能があり、発熱・発火を防止するものです。
入手したBMSは5個で1800円程度と安価なもので、18650バッテリー自体も再生品ですので発熱・発火リスクが完全に解消される訳ではないので、 電気製品用の消化器を準備しておきました。同様のバッテリーを使用する場合はあくまでも自己責任となりますので、ご注意下さい。
試作したリチウムイオン蓄電池
オフグリッド用DIYバッテリーBOX用にステラの電気自動車や家庭用蓄電池にも使用されていらしい「18650」という規格のリチウムイオン電池の再生品を使用して安価なバッテリーBOXを試作してみました。
使用したものは公称容量3500mahの18650リチウムイオン電池を48個ですので、単純計算で168ahもの容量になります。 10000mahのスマホ充電用のバッテリーが約17個分ということになります。
実際は再生品で3200~3400mahであることと回路ロス等で8割程度の容量としても134ahとなります。 この再生18650バッテリーは1個約300円で入手できたので約15千円、BMSや電池ケース他で約5千円ですので合計で約2万円です。
使用したBMSは3直列12.6V、20Aのもので、1セル当たり5A以下にするため4並列で配線しました。18650バッテリーを使用した12Vバッテリーの情報をしらべた所、 3直列5並列のもので25AのBMSを使用しているケースが多いようなので参考にしました。
3直列4並列で20Aのモジュールを4個作成して、更にモジュールを並列接続することで合計80AのバッテリーBOXとしました。 80Aあれば12V×80A=960Wの出力可能となるので、既設の1000Wインバーターへの電力供給量を賄える計算です。
18650バッテリーを使用して連結する場合、ニッケル板を電池に直接溶接する方法が主流のようですが、電池の消耗時の交換を容易にするため、バッテリーを取外し可能な3直列電池ケースを使用しました。
後は設置や可搬性を上げるため、A3サイズのファイルケースの底面に耐熱テープを貼って耐熱両面テープで固定しました。 DIY電源BOXに新しいバッテリーBOXを設置して配線するため、ファイルケースに穴あけしての外側に8mm径の端子を4個取付けました。
この状態では自重でファイルケースの中央部分が沈んでしまうので、電線ケーブルが巻いてあったプラスチックの芯を流用してファイルケースの中央部分に取付けました。 バッテリーBOXの状態監視のため、バッテリーモニターを追加設置しました。
入手したのは電圧、電流、パワー、容量、エネルギー、バッテリーSOC、内部抵抗、実行時間、インピーダンスの9種類を計測可能なDCマルチメータです。 バッテリーのマイナス側にシャント抵抗を配線する必要がありますが、バッテリーの状態を詳細に監視可能です。
試運転と連続使用時間予測
100Wソーラーパネルに接続済のDIY電源BOXに設置してインバーターから約40Wの送風機を使用してみましたが、問題なく稼働しバッテリーモニター上の負荷は約50Wです。差分は主にインバーターロスです。
主な利用想定は停電時に冷蔵庫に電源供給することで、冷蔵庫の年間消費電力量が280KWhで定常時で約5~8Wなので送風機と合わせも約60W出力として5Aなので計算上は24時間以上稼働可能ということになります。
実際の使用可能時間は約半分としても冷蔵庫単体であれば15Whとして2日程度は連続使用可能と思われるので、曇りや雨でソーラーパネルの発電量が2日間ほど減ったとしても連続して稼働できるのではないかと目論んでいます。
追記(2020/5/14)
作成したリチウムイオン蓄電池の容量ですが、18650バッテリーセル1個当たり公称3.7V・3500mAhですので12Vシステムでは3個直列で利用しますので、1/3になります。ポータブルバッテリー等の容量表示は3.7Vでの容量のケースが多いです。
18650バッテリーセル48個で1セル当たり3200mAHとすると3.7Vシステムで容量154Ah、12Vシステムで容量51Ah(614Wh)ということになります。DCマルチモニター上で約45AhですのでBMSや配線ロスが約10%と推測できます。冷蔵庫単体でインバーターロスを含めて平均15Wh消費とすると41時間稼働可能な計算です。
また、修正正弦波のインバーターで短時間なら冷蔵庫が動きましたが、コンプレッサーには正弦波の方が良さそうなので安価な正弦波の1000Wインバーターを追加入手しました。50Hz/60Hzの切替が出来ないものですが約1万円です。
冷蔵庫が何れの周波数にも対応しているので良しとしました。約1時間の試験運転してみましたが、問題無く稼働しました。但しインバーターの消費電力が約10Wと3割程上がりました。
蓄電容量168ahのリチウムイオン蓄電池
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